プレゼンテーション資料に差し込む図解や、パッと見ただけで意味がわかりやすいグラフなど、「図解」がもたらすメリットには年々注目が集まっています。
そもそも、なぜここまで図解が流行したのか? わかりやすい図解を用いることにより、どんな具体的な効果/メリットが得られるのか?
せっかく図解を活用しようと思っても、その種類や効果を正しく理解していなければ、正しく物事を伝えられないかもしれません。
改めて図解の定義を見直し、その効果とメリットについて把握しておきましょう。こちらの記事で詳しく解説します。
「図解」の定義について、もう一度見直してみよう
図解と一口に言っても、その種類は様々です。皆さんは図解と聞いた時に、まずどんなものを思い浮かべるでしょうか?
こちらの項目では、図解の定義について明らかにするとともに、わかりやすい図解の条件や種類について解説します。
そもそも「図解」とは?その定義について
図解の定義について説明する前に、まずは「図」とは何なのかを明らかにしておきましょう。
「図」とは、図形やアイコン、文などの集合体を指す言葉です。
図形といえば三角形や四角形が思い浮かびますね。アイコンとは記号のことで、身近な例でいうとお手洗いの男女別を表すマークがアイコンにあたります。文は図形やアイコンの説明に使われます。
「図解」は、この図形やアイコン、文の集合体である図のうち、物事を視覚的にわかりやすく表現したものとなります。
説明したい事柄を整理整頓し、どんな人にもわかりやすく伝えることを目的としたものが図解なのです。
わかりやすい図解の条件とは
図解とは、図を使って物事を整理整頓し、わかりやすく伝えるための表現手段であることを説明しました。
それでは「わかりやすい図解」の条件とは、何だと思いますか? 大きく2点に集約できます。
わざわざ図解を使って伝えたい事柄を表現する目的は、「見る人に一目でわかりやすく伝わってほしいから」です。そのためには、「何を、誰に伝えたいか?」をはっきりさせておくことが重要になってきます。
たとえば新商品と従来商品の違いを表現したいなら、値段や性能など異なる点を洗い出すことに加え、お客様に伝えたいのか、それとも取引先の担当者に伝えたいのかなど、ターゲットを定めることが大事です。
そして、ひとつの図解ではひとつのテーマに絞ることも鉄則。せっかく作る図解ですから、あれこれと要素を入れたくなる気持ちはわかります。
ただ、目的は「見る人に一目でわかりやすく伝わってほしいから」。図解を見る側に立ち、1図解1テーマを心がけ、要素は必要な分に絞りましょう。
図解と似てる?「チャート」「表」「グラフ」の違い
図解にもいろいろな種類がありますが、似ている言葉で「チャート」「表」「グラフ」もあります。混同してしまいがちですが、それぞれの違いをしっかり把握しておきましょう。
「チャート」と「図解」はほぼ同義の言葉ですが、チャートの中には地図や海図も含まれます。少々ニュアンスが違うことを覚えておきましょう。「表」や「グラフ」は、これら「チャート」や「図解」の一種と考えるとわかりやすいです。
「表」とは、互いに関連する事柄を比較しやすいよう、左右上下にわかりやすく配置し、一覧にしたもの。図解としてはオーソドックスであり、誰もが見たことのある親しみ深い形式です。
「グラフ」は、互いに関連する事柄を並べるのは上記の表と変わりませんが、主にその数量や大小関係、割合などを視覚的に表現したものを指します。
円グラフや棒グラフ、折れ線グラフなどいろいろな種類がありますね。算数や数学の教科書で一度は見たことのある方が大半でしょう。
わかりやすい図解がもたらす効果/メリット10選
図解の定義や種類について解説しました。次に、わかりやすい図解がもたらす効果やメリットについてご紹介します。
1.全体像を理解しやすく、ムダがない資料が作れる
図解のメリットとしてまず挙げられるのは、なんと言っても「わかりやすくムダのない資料を作れる」点です。
口頭説明や文章だけでは伝えにくい情報、もしくは食い違った解釈になってしまいそうな情報についても、図解するだけで全体像を整理でき、誰にでも伝わりやすい資料にできます。
とくに効果を発揮するのが、細かい数字が関わってくる場合です。ただ数字を羅列し読み上げるよりも、図解にして一目でわかりやすくすれば後のトラブル回避にも繋がります。折れ線グラフや円グラフなどを用いると便利です。
2.説明不要で誰とでも共有できる
口頭説明が不要で、一目で誰とでもすぐに情報を共有できるのは、図解の強み。そのストレスのなさは一度経験しただけで実感いただけるはずです。
スムーズに情報共有ができれば、伝え漏れによるトラブルも回避できます。
とくに昨今はリモートワークにより、オンラインを介して情報共有する機会が格段に増えました。口頭であれば細かくフォローできる部分もありますが、テキストコミュニケーションのみだと心もとないケースもあるでしょう。そんな時も図解が活躍します。
3.質の高いプレゼンができるようになる
誰にでもわかりやすく、情報共有できる資料が作成できるということは、質の高いプレゼンにも繋がるということ。説得力のあるプレゼンをするためにも、図解を効果的に使って資料を練り上げましょう。
「プレゼン経験の浅い自分が、そこまで凝った資料を作れるだろうか……」と不安になる必要はありません。
最初は四角と矢印を組み合わせた簡単な図解だけでも、あるのとないのとでは雲泥の差です。簡単なところからチャレンジしてみましょう。
4.新しいアイデアが生まれやすくなる
複数あるアイデアを図にして整理したり、互いの関連性や違いを比較しわかりやすくすることによって、さらなるアイデアが生まれやすい土壌を作れます。
新しいアイデアを生み出す方法としては、オズボーンのチェックリストやマンダラートなど様々な方法があるため、図解と組み合わせて使うとより今までにないアイデアを生み出しやすくなるでしょう。
5.思考プロセスそのものが単純化する
図解のメリットは、情報をわかりやすく表現し伝えるだけには留まりません。自分の手で自分のために作る図解もあります。難解な思考プロセスにわかりやすい道筋をつけてくれるのも図解の特徴なのです。
要素が数多く複雑になりやすい情報は、紙やホワイトボードに書き出して視覚化したり、付箋に書き出して同じジャンルごとに分けたりする方法を用いると整理しやすくなります。
6.相互関係/イメージを簡潔に伝えられる
互いに関連する要素をわかりやすく比較したり、曖昧なイメージを簡潔に伝えられるのも図解の持ち味です。
例えば「男性脳と女性脳のちがい」をテーマに資料を作ろうとした時、「男性脳は論理的で解決策を求めやすい」「女性脳は感覚的で気持ちを共有したい」など文章で表すよりも、図解で示したほうが一目でわかってもらいやすくなります。
7.受け手に強い印象を残し、理解度を格段に上げられる
同じことを口頭で伝えた時に、相手によって解釈が違うことがあります。
例えば「できるだけ早めにこの資料を10部コピーしておいて」と複数人に頼んだとして、すぐにコピーに着手する人もいれば、数時間経ってから仕上げてくる人、今週中くらいでいいだろうと解釈してしばらく放置する人など様々でしょう。
簡単な作業やマニュアル化できるものは、誰が見てもわかりやすいよう図解入りで参照できるようにしておけば、見る人の理解度を上げられます。行き違いも少なくストレスフリーな仕事にも繋がるでしょう。
8.親しみやすさが増し、不安を解消できる
「読書が苦手です」という人の中には、文章のみが延々と続いてなんだか威圧感があるから苦手……と思う場合も少なからずあります。
どんなに柔らかい文章だったとしても、色味やイラストがまったくない資料だと簡素なイメージを受け、なんだかとっつきにくくなってしまいますよね。
適度に図解を入れることで親しみやすさが増し、見る人の心理的障壁を和らげることができるのです。ちょっとしたことですが、情報の吸収度や理解力が格段に変わってきます。
9.自分ごと化させ、注意深く見てもらえる
図解を用いれば、見る人に自分ごととして捉えてもらい、注意深く見てもらいやすくなります。代表例が「病気」についてです。
例えば胃がんの進行度について説明したい場合にも、ただ口頭や文章で「早期発見が完治に繋がります」と伝えたとしても、切実さに欠けるのではないでしょうか。
図解をすることにより、内容を視覚的にイメージしやすくなるため、読者に自分ごととして見てもらいやすくなるのです。
10.文字だけに比べて学習効率が4倍以上
文字を羅列した資料だけをただ見せられるよりも、適度に図解を交えた資料のほうが学習効率が4倍以上にのぼると言われています。
学生時代の教科書を想像してもらうとわかりやすいかもしれません。白黒のページよりも、カラーで図解もあるページのほうが記憶に残りやすかったのではないでしょうか。
また、図解入りの資料を見ながら、自身でも手書きで図解を再現してみたり、簡単にメモを取ったりしてもらうとなお良いでしょう。時間が経っても内容を覚えていてもらいやすくなります(参考:「情報記録手法と記憶定着・理解度の関係についての実験報告」)。
まとめ:図解の効果を把握し、よりわかりやすい図解作成に役立てよう
図解がもたらす効果/メリットを改めて知ることで、よりわかりやすい図解を作れるようになります。
ビジネスパーソンの貴重な時間を有効活用し、より効果的に過ごせるよう、パッと見ただけで意味がわかる図解の仕組みを知り、仕事にプライベートに役立てましょう。